夜のピクニック

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

映画化にあわせてか、2年前の作品なのに早々と文庫化されてた。単行本買えない派としては助かるけどもったいないよねえ。

自分の通ってた高校にも夜のピクニック的イベントが存在した。もともとめんたい国の歴史ある高校で昔から行われてきた行事で、うちは新設高だったのに高校立ち上げ時の教師が行事ごと赴任してきてから始まってしまったのだ。まったく、はた迷惑な先生だよ。

男子は14時か15時頃学校出発、女子は18時か19時頃に男子の夕食休憩場所に集合、合流して歩く。で、男子が40〜50キロ?女子が30キロくらいだったかなあ、田んぼの多い郡部の田舎道をてくてく歩くわけだ。夜中に田舎中学の体育館で何時間か仮眠して後、また歩く歩く歩く。学校着は翌朝8時過ぎとかで、その日は朝から学食が営業してて参加者全員で朝食とってからへろへろになって帰宅するという、かなりハードな内容。自分はわりと記憶力があるほうなのだが、このイベントに関してはあまりのきつさに意識が朦朧としていたのか仮眠前に飲んだポカリスエットめっちゃうまかったわ!以降の記憶がほとんどない。たぶん人生のなかで一番美味しく感じた飲み物はこのときのポカリスエットだね。
毎年1年生は強制参加、当然ハードなので2年生で勘弁してよ二度とごめんだよと参加者は激減、でも3年生になった頃には異様な学校生活に洗脳されてちょっとアタマがおかしくなってきてる生徒が多いので「高校生活の記念に参加しようぜー!うひょー!」と変な脳内物質がにじみ出した参加希望者(=自分含)がまた増えるという謎イベントでした。

夕方から歩き始めてあたりがどんどん暗くなって(開催されてた時期は8時くらいまで明るい)、歩き始めて数時間はまだ元気があるので友だちと喋ったり歌を歌いながら楽しさいっぱいなのだが、時間が経つにつれて足は痛いし喉は渇くし体力に余裕がなくなってどんどん無口になっていく。田舎道なんで家の灯りもみえず、田んぼ際なので街灯もない暗い道を、前の人のぼんやり白い体操服の背中を見ながらただ黙々と歩くという肉体が極限状態におかれてると、余計なものをそぎ落として真っ白な気持ちでいろんな事を考えることができたので、完走後(完歩後か?)の爽快感は結構あったような気がする。記憶が定かじゃないんスけどね。
でもそこにラブが入り込める隙間があったかというと絶対ないね。断言。こんな状況でラブ方向に余力を残せる人間はどんな体力自慢なんだよって感じですよ。自宅近くを歩くルートだったのでこのままばっくれようかと思ったくらい逃げ出したかったもん。

でこういうハードなイベントなので引率する教師側も迷惑がってるところがあったのか創立時の教師連中の転任後に中止されてたみたいだけど、その中の教師が校長として戻ってきた今年、復活したとかいう噂を聞いた。本当だとしたらざまあみろ、あの苦しみをおまえらゆとり教育世代も味わえ!って感じ。ケケケ。