ゲキシネ「メタルマクベス」

シェークスピアの「マクベス」+「北斗の拳」+メタル+クドカン=「メタルマクベス」になるのかな。ストーリーはシェークスピアの「マクベス」がしっかりと存在し、2206年のESP国ランダムスター&ランダムスター夫人の悪夢として1980年代バンドブーム時代のメタルバンド「マクベス」のエピソードが折り込まれるという練られた構成。クドカン上手い。

ネーミングに関してはメタルベースなんで、ESP国のレスポール国王の配下にランダムスター将軍とエクスプローラー将軍、トーカイとヤマハが部下にいて、エクスプローラー将軍の息子はマーシャル、レスポールjr王子の教育係はグレコ、隣国にはパール王がいて、ギターやら太鼓の名前ばかり。反対にバンドのメンバーはマクベス内野・マグダフ北村・バンクォー橋本とシェークスピアマクベス」名に。Drのナンプラーだけは意味がわかんねえけど。

ランダムスター夫人(=マクベス夫人)役の松たか子はきれいだし演技上手いし歌うまいし滑舌いいしで非常に好演をしていて、天が二物も三物も与える演劇の遺伝子ってすごいなと。以前に松さんの芝居を観たときはあっさり演じこなして上手すぎてつまんなかったのだが、こういう汚れ役というかパンチの効いたハードルが高めの、松さんがフル(に近い)スペックを発揮する必要がある役じゃないと本人つまんなくて演技なんてしてらんねえし、みたいな状態なのでは。高麗屋すげー。

北村有起哉についてはは水野美紀とつきあってたくらいの情報しか持っていなかったのだが、迫力ある演技。スレンダーで、身長もそんなに高くないはずなのに非常に高身長に感じたのは頭が小さいのかな。もしグレンラガンが実写になったらオカマのエンジニア役は北村有起哉でいいと思うんだぜ。

森山未來は初新感線の「メタルマクベス」のレスポールJr役が発展して「五右衛門ロック」のカルマ王子役なんでしょうね。キレのあるダンスと殺陣をもっと観たいと思わせる演技。

舞台を多数のカメラで撮影して映画館で上映するというゲキシネについては、芝居の空気感を重く見るひとには不評かも知れないが、細かい演技や表情を大画面で見ることができる点については結構よいやり方だと思う。舞台は舞台、これはこれ。