離婚して子どもを育ててるひとり親家庭はワープアになりやすいという話

をついったーでやったら「なんで?」とついーとされた流れで、いろいろ書いてみたよ。

ワーキングプア(working poor)とは正社員並み、あるいは正社員としてフルタイムで働いてもギリギリの生活さえ維持が困難、もしくは生活保護の水準にも満たない収入しか得られない就労者の社会層のことである。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%97%E3%82%A2

では生活保護の水準とはどのくらいか、以下のサイトで計算してみてください。

生活保護基準の自動計算|平成22年
http://www.petopeto.com/

我が家の家族構成で収入ゼロとして計算してみた場合の生活保護費は現在正社員として貰っている給料以上となり、見事我が家もワープア世帯として認定されました。ありがとうありがとう。生活保護だと月30万以上余裕という、予想以上にワープアラインは高くて涙目です。本当に「働いたら負け」って至言ですね。というわけで以下、リアルワープアがお送りいたします。

ワープアになるなんてなんで?

なんででしょうね。別になりたくてなってるわけではないんですけど。

ワープアとは「働けど働けどなおわが暮らし楽にならざり」ってことなので、別に働いてないわけじゃないですよ。働いているけど子持ちだと、高い給料を貰えるような職種に就けない・就きにくい・就くための勉強がしにくい、そして長時間働けないことで必然的に貧乏になっているのでは。

たとえば企業に就職していて、残業や泊まりの出張はできませんが保育園のお迎えに間に合う時刻までなら可能です、予告なく突然子どもの病気で欠勤することがあります、伝染する病気の場合一週間ほど欠勤するかもしれません、そういう勤務形態が許される職業職場では大きな責任を任されにくいため昇進昇級も難しく、薄給フォーエバーということはありませんか。少しでも高い収入を得ようと資格取得や勉強を始めるときに、家事育児と収入を維持しつつ、勉強のための時間と費用は捻出できますか。

子どもの存在が足かせとなって、思い通りに働いたり勉強したりできない状況だったりします。

ワープアになるか否かは離婚後の本人の努力次第

努力ですか。しまくってはないですが、かといってしてないわけでもないんですけど、基本ひとり親には労働・勉強・家事・育児をするための時間が不足気味で、収入を増やすための努力に費やす時間も不足しています。不足している時間を補填することは難しいです。

離婚後、それまで夫婦ふたりでシェアしてきた家事育児について、倍とは言いませんが負担は増えます。子どもがある程度大きくなればそれなりに任せられることは増えてきますが、やはりすべてを丸投げしお任せすることはできません。家庭内の最終責任はすべてひとりで負担しなければならないのです。それでなくても低収入で余裕がないのに、せめて時間的余裕くらいないと健全な生活を送ることは難しいです。

またひとり親として生活していく大前提として、病気できない・倒れられない、があります。倒れたらそこで家庭終了ですから自分自身と子どもの体調を維持し、できるだけ仕事を休まずにすむよう健康管理も必要です。たとえば、仕事をしていても家事育児をするための、家事育児をしていても仕事をするための余力は残しておき、いつも意識の中に子どものことを残しておく。

そんなわけで仕事や育児に100%全力投球せず、寝食を削ってワープア脱出のための勉強せず、低収入に甘んじてることを努力不足と言われればそうかもしれません。

ダメ配偶者には見切りつけてすぐ別れる

そう思っていた時期が私にもありました。でも別れた後の生活設計くらい立ててからじゃないと、嫌だから我慢できないからといって慌ててすぐに別れちゃダメなんですよ。最低でも住む家と仕事と保育と働かずに半年暮らせるお金と慰謝料や養育費をぶんどる見通しがないと路頭に迷います。

「保育園は仕事を持って働いてる人が子どもを預けるところであって、求職活動中の人が預ける場所ではありません」「子どもさん小さいですね。子どもさんの病気で急に仕事を休まれたりするのはちょっと困るのですが…」と各所からお断りされるようなレベルからひとり親生活を始めちゃダメですから。

育てられないならひきとらなければいい

ですよねー。前配偶者との子どもなんて就職にも入居にも再婚にも邪魔ですよ。子どもなんて次の相手との間にまた産めば(作れば)いいじゃないですか。養育費だけ払って、たまの面会で可愛がるだけ可愛がり、別れ際に辛そうな顔しとくのが一番おすすめ。育児に係る面倒なことには関わらず責任をとる必要まったくなしで楽勝です。

しかし、事情によっては離婚したくなくても離婚したり、また死別だったり、無職無資格の役立たずでも子どもをひきとらざるを得ないこともあるわけです。養育を放棄して児童養護施設にぶち込むたとえ貧乏でも手元に置いて親としての愛をあびせたおしてやろうぞ!という人もいますから。なんでも合理的に理性的に解決できるわけではないのかなあと思います。

いまだに母親だから子どもひきとって当然的な風潮がありますが、それならひきとってない父親は養育費きちんと払え的な風潮もほしいし、風潮以上にきちんと支払わせる社会システムもほしいですね。元配偶者からの養育費があれば、ひとり親の稼ぎや生活スタイルでもそれなりに生きてはいけるし、社会保障費の支出も少しは抑えられるのではないでしょうか。

ひとり親に対する生活保護

誰が何をネグレクト?-Chikirinの日記
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100801

だったら、市役所で離婚届けを受け付ける時に、

・母親がトップ女優や歌手ではなく、

・父親が支払うと約束した額と現実的な支払い見通しが不十分で、

・実家に、生活を支援する財力と予定があると確認できなければ、

「では、このまま生活保護課に行って、手続きしていってくださいね」と、離婚届けを受理する係の人が、離婚届けと引き替えに生活保護申請書を渡しながら言う必要があるんじゃないの?

違うのかな・・

違いますよ。いきなり生活保護なんて甘やかす必要はないですね。子どもをひきとった離婚女がまず働けよと。離婚男に相当な稼ぎがあろうとなかろうと生活費を払えよと。実家のサポートも必要だけど、まずは当事者である離婚夫婦それぞれがやるべきことをやれよと。

ただし、待機なしの保育・職業訓練・離婚後一定期間限定での生活費支給などの自立のための支援策があればとは思います。保護は不要です。自立が必要なのです。

ちなみに、離婚届には我が子情報を書き込む欄はなかったはずなので、たとえ窓口で子の有無や養育費あたりを確認されても「子ども?いないしwww」と簡単に言い逃れられるんですけどね。子どもの有無や離婚後の養育者を行政が把握し、ひとり親支援策についてスムースに受けられるシステム的な流れがあれば、避けられた悲劇的事件もあったかもしれません。

てめーが悪いんだろという自己責任論について

こういう話をすると、結婚や離婚をしなければいいじゃん子ども作らなければいいじゃんというそもそも論が登場して、離婚に至るようなカス配偶者掴んだヤツがバカなだけ、てめーが悪いんだろという自己責任論に落ち着いて終わりになりがちです。まあそうですよね。よその家庭やよその子なんかどうなったって関係ないですしね。

離婚しちゃったものは、子どもが産まれちゃったものはもうどうしようもなくて、でも目の前の我が子を育てていかなきゃいけないので、大多数のひとり親はガツガツ働いてるわけです。当たり前ですよね、我が子を育て上げるのが親の仕事なんだし。ただ、ひとりの力では責任とか努力とかでがんばってみても、どうにもならない場合がでてくるわけです。

今は夫婦ふたりの収入を合算してはじめて普通レベルの生活を維持できるという給与収入の世の中になっているわけで、ひとりの収入による生活は楽ではありません。そこから上に進める道や手段が、ひとり親だけでなく、収入の少ないふたり親家庭に対してもあればなあと思うわけです。

ひとり親だけに限ったことではないですが、どうにも余裕がなくなって子どもぶん投げたり、放ったらかしでお遍路の旅に出たくなるときがあるわけで、そういうちょっと頭がおかしくなったときに周囲の人が正気に戻してくると助かるなあと思うのですよ。夫婦揃った家庭なら正気に戻す役は一番身近な配偶者が担当するんでしょうけど、ひとり親だと異常に気付いてくれる人もなかなかいなくて、下手すると取り返しのつかないことになるわけです。

必要以上に甘やかす必要はありませんが、ときには安心するような言葉をかけてやってくれる人が増えて、少しでも救われる人が増えるとるといいなあと思います。