「アンダーグラウンド」村上春樹

アンダーグラウンド (講談社文庫)
地下鉄サリン事件で被害にあったJR東日本勤務の女性が、救急車が足りなかったので取材車両の運転手に病院まで乗せてくださいと交渉し、他の重篤な被害者と一緒に緊急車両ではない車で病院に行くことなる。その際に車窓からハンカチを振って緊急であることを周囲にアピールしたのだが、それは会社の安全教育で習ったんです、という内容があったと記憶している。年若い女性なのにしっかりしてるなあ(たしか20代)、安全教育をきちんと受けていればこういう対応ができるんだなー、なにか事故にあったときに参考にしようぜ、と読んだ当時に関心した記憶もある。以上、手元に現物がないのでうろ覚えなのであるが。
今回の福知山線の事故ではJR西日本社員の対応の数々の不手際が明らかになっているが、緊急時の対応マニュアル・社員への安全教育が存在していたのならば、若いお姉ちゃんでもある程度のことはやれるしできるはずなのだ。事故に慌てて報告できなかった車掌・救助活動しなかった運転士・ゴルフやボーリングに行っちゃった社員とまったく然るべき対応ができていないJR西日本にはマニュアルや教育が存在していなかったのではないのかと思ってしまう。「教育」が草むしりと書き取りだけじゃ人の命は救えないしそもそも預けられない。