これをパクり呼ばわりされても

天は赤い河のほとり〔文庫〕 1 (小学館文庫 (しA-31))

天は赤い河のほとり〔文庫〕 1 (小学館文庫 (しA-31))

漫画「王家の紋章」をパクった内容の漫画が、他誌で八年間連載さ… - 人力検索はてな

天は赤い河のほとり」が「王家の紋章」に似てると言われるのは、ヒロインがタイムスリップして古代に落っこちて権力者の寵愛を受けるという部分と、落っこちた場所がヒッタイトとエジプトでご近所で、時代的にも「王家」のメンフィスのモデルが第18王朝のツタンカーメン、「天河」のカイルが即位して皇帝になったのがムルシリ2世でほぼ同時期の人物だから。

でも話を読んでみれば解るけど受ける印象はかなり違う。「天河」はヒロインが切り開いていく話で、「王家」はヒロインが流される話(いろんな意味で)。

後発の「天河」があえてこの時代を選ばなくてもよさそうなものなのにとは思うけど、パクリ呼ばわりするのは違うと思うなあ。顴骨堕胎できてるもん。登場人物も、物事をきちんと考える能力を持ちキレる子じゃないメンフィスと、行動力があるキャロルと、バカじゃないイズミル王子と、悪巧みが成功するアイシスと、ミヌーエ将軍÷3みたいな感じでしっかりしてるし、話も同じことの繰り返し焼き直しのいきあたりばったりとは違い、きちんと起承転結があり辻褄もあってるし何よりダイナミックなので、パクリ呼ばわりして敬遠せずに一度読んでみることをお薦めする。だってきちんと完結してるしね!文庫ででたから自分もきちんと買いそろえるつもり。

結局「王家の紋章」は、メンフィスが死んでキャロルがその棺の上に花束を載せて現代に戻って、実はキャロルとは血の繋がってないライアン兄さん=たぶんメンフィスの生まれ変わりとくっついて終わる話である、ということは第一話読めばわかるわけでなあ。その結末にどうやって着地するのかを30年間同じようなエピソードを延々繰り返されつつも諦めずに待ってる訳なんだけど、いい加減に終わらせて欲しいよ〜マジで〜。

あと、現代において発掘されたメンフィスの墓から棺が発見され展示されてしまい、同じく埋葬されてたアイシスが愛する弟の棺を荒らすヤツはゆるさん!という理由から発掘した財閥の令嬢であるキャロルを古代に連れてきた、というのが確か最初のタイムスリップだったよねえ。これってすごいパラドックスが発生するはずなんだけど、どう始末を付けるつもりなんだろう。そこを確認するために30年待ってるわけなのよ!