さぼり病・なまけ病・ゆとり病として見られてしまう「起立性調節障害」という病気

NHK教育の番組「福祉ネットワーク」で「起立性調節障害」が取り上げられていました。

2011年5月25日(水) 再放送:6月1日(水)
“なまけもの”と呼ばないで −子どもを襲う起立性調節障害


「朝起きたくても起きられない」「立ちくらみやめまいが続き、学校に行けない」。
思春期の子どもたちによくみられるこうした症状の陰に、実は、ある病気が隠れていることが、最近の研究で分かってきた。
起立性調節障害」。体の成長期に自立神経のバランスを崩すことで、朝方、強いけん怠感やめまい・立ちくらみ等の症状が見られる病気。
遺伝的な低血圧体質や、精神的なストレスなどが影響していると考えられている。思春期の子どもの10人に1人が発症するといわれ、重症になると学校生活が困難になるなど、子どもたちに大きな影響を与えている。
さらに、病気が知られていないために、周囲から「怠けているのではないか」と誤解されされ、精神的に追いつめられていく子どもたちは少なくない。
番組では、知られざる子どもの病気「起立性調節障害」の実態を伝え、子どもの心と体を守るために何が必要か、新たな取り組みも交えながら考えていく。


http://www.nhk.or.jp/heart-net/fnet/info/1105/110525.html

起立性調節障害」、我が子が罹るまでは自分は聞いたこともなかったくらいでそれほど知名度は高くないのかなあとも思うのですが、この病気だと知らずに症状がでている子は実際のところかなり多いという病気です。
かなり多いはずなのに起立性調節障害だと診断され自覚している子が少ないのは、たぶんこの病名や症例を知っていないと、周囲の人たちには単なるさぼり病・なまけ病・ゆとり病にしか見えないからスルーされてしまっているからなのです。

とにかく、朝だるいとかきついと言って全然起きられない。強引に身体を起こそうとするけど動かない。発熱もなく、ただだるくてきついだけと言う。どうしても身体が動かないなら一日くらい休んでもいいけど、と学校を休ませ、夕方仕事が終わって帰宅するとピンピンして元気まんまんなのです。ああ元気になったじゃん、明日は学校行きなさいよ〜、うんわかった〜、みたいな話をしつつ晩ご飯食べて、でも次の朝になったらまただるいきついと起きられない。
こんな病気があることを知らないと、これってただのさぼり病なまけ病にしか見えないと思うんですよね。

実際の症状や診断基準としては、

起立性調節障害 ( OD : Orthostatic Dysregulation ) とは?
http://www.inphs-od.com/symptom/menu_01/index.html

【大症状】
A. 立ちくらみ、あるいは目まいを起こしやすい
B. 立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる
C. 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
D. 少し動くと動悸あるいは息切れがする
E. 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い

【小症状】
a. 顔色が青白い
b. 食欲不振
c. 臍疝痛をときどき訴える
d. 倦怠あるいは疲れやすい
e. 頭痛
f. 乗り物に酔いやすい
g. 起立試験脈圧狭小化16mmHg以上
h. 同収縮期圧低下21mmHg以上
i. 同脈拍数増加1分間21以上
j. 同立位心電図のTIIの0.2mV以上の減高その他の変化


【判定】
大症状が3つか大症状2+小症状1、または大症状1+小症状3以上で、
器質性の心臓病や貧血などがなければ、ODと診断する。
A〜E、a〜fには、「しばしば」「ときどき」「たまに」の指標が
それぞれ規定されており、それに従って陽性かどうかを判定する。

もしかして…!と心当たりのある人は多いのではないかなあ。
我が子は上記大症状のA.B.C.E.に該当で、かなり症状がひどめの、いきなりダメじゃん状態でした\(^o^)/

我が子の場合は、病院に行ったら医師が「あ、これ起立性調節障害だわw」って病気の説明と対処法の載ったペーパーをくれて、病名検索して上記のサイトを見つけてプリントアウトして学校に持って行って所属部活顧問でもある保健室先生にも相談したら「起立性調節障害?うちの子もなってたわ〜大変なのよね〜」とあっさり話が通じて担任他の職員室連中に詳しく話を通してくれました。しかし当時の日記ログを見ると

保健室の先生は知ってたけど、担任と顧問は知らなかったんだよ!
「青少年に多い」って病気なのにいいのかよって思った。

見た目なまけ病だから、学校側にきちんと理解してもらわないと
根性論と気合いとやる気を持ち出されて変に励まされそうで怖いわあ。

周囲の理解となるとあまり得られていなかったのかなあと。自分も病名を知っててもなお、根性論と気合いとやる気で解決できそうな気になってましたし。

この番組では、起立性調節障害がどんな病気であるか、実際どんな症状が出るのか、病気になった本人および親の抱える苦悩、この病気を抱えながらの学校生活の困難さ、親や教師をはじめとする周囲の理解の必要性、そんなところが描かれていたので、ぜひ多くの人に見てもらい、起立性調節障害というものを知ってもらえたらいいなと、いま、この病名を知らずに単なるさぼり病・なまけ病・ゆとり病と見られて、病気と周囲の理解のなさに苦しんでいる子どもが適切な診断と処方で少しでも体調が改善されるといいなと思います。

我が子は番組を見ながら「この病気ってマジできついんよ、本当にきついんよね。わからんやろうけど」とつぶやいてました。
まあね。他人にはなかなかわからんわな(^д^)

【田中英高さんの著書】
起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応(中央法規出版 、2009年)
起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック(中央法規出版 、2010年)

【「起立性調節障害」に関するホームページ】
起立性調節障害サポートグループ
ホームページ:http://www.inphs-od.com/NHKサイトを離れます)
※ホームページでは、症状のチェックや、受診可能な病院を検索することができます。

【家族会に関するホームページ】
NPO起立性調節障害ピアネットAlice
ホームページ:http://greens.st.wakwak.ne.jp/901971/NHKサイトを離れます)
※ホームページでは、家族会の開催情報や、進路など悩みの情報交換を行っています。